The “Hero” Tour @ Radio City

今夜はRadio City Music HallでKirk FranklinとMary Maryのコンサートに行ってきた。Kirkといえばゴスペル・ヒップホップのパイオニアだが、今やクリスチャン音楽のトップアーティストの一人。

まず、新人のThe Truthというラップアーティストが前座で3、4曲やった。コンサートは大体音が大きく響くので歌詞だけじゃなく語りも聞き取り難いことが多いんで、ラップなんか尚更何言ってんだか判らん。

そしてMary Maryの出番。EricaとTinaのCampbell姉妹だ。二人の旧姓はAtkinsなのだが、同じ時期にそれぞれが結婚した相手がたまたまCampbellという姓だったので(関連は無いらしい)、結婚しても二人とも同じ姓になっている。『Mary Mary』という名前の由来は、イエスの人生の中で最も重要な二人のマリア(イエスの母マリアとマグダラのマリア)から。二人のアルバムは、店によってはクリスチャンではなくロック&ポップのセクションにアルバムが置いてあるくらいなので、ジャンルを超えた人気を得ている。

音楽的には、詩の意味が判らなかったら、普通のR&Bコンサートとして十分通用すると思う。途中で自分の好きな曲『Can’t Give Up Now』や『Yesterday』(もちろんBeatlesのとは別)もやってくれたし、最後は『Heaven』から『Shackles』で閉めてくれたんで、十分満足。『Heaven』の後半にはKirkが脇から走って出てきて、数秒二人と一緒に踊ってすぐ走り去るという、笑いも取ってくれた。『Shackles』は二人がSony Music契約後の一枚目のアルバムに入ってる最初のヒットだったのだが、クラブでも流れてたというくらい人気のあった曲で、今でもコンサートは最後は必ずこの曲だ。

Kirkの前に10分の休憩時間。ステージ上のスクリーンで、新しく始まった24時間クリスチャン中心のテレビ局『Gospel Music Channel』の宣伝をやってた。ブラックゴスペルだけじゃなくCCMやカントリー他、クリスチャン向けのエンターテイメントをやってるチャンネルらしい。見たいんだけど、うちのケーブルには入ってないなぁ…。

休憩後、会場が暗くなり、クワイヤによる賛美歌風『Awsome God』が流れ始め、観客が盛り上がる。もちろんKirkのバージョンの同曲で始まった。最新アルバム『Hero』に、Tears For Fearsの名曲『Shout』がサビとして使われている『Let It Go』という曲があるが、CDで聴いてても「なるほどね…」という程度だったにも関わらず、ライブで聴くとKirkの幼い頃からこれまでの人生の証しが凄く重く聞こえた。他にも結構古い曲も続けてやってたんで、観客は大喜び。

Kirkのステージは、彼のラップやダンスと、クワイヤの美しいコーラスという、説明だけ聞いたら噛合いそうにないけど、実際凄くうまく組み合わさっている。CDでも総合プロデューサーとしてのKirkの素晴らしさを楽しめることはできるが、パフォーマーとしてのKirkを楽しむなら、やはりライブだ。

Mary MaryもKirkも何度もコンサートで見てきたが、今夜も自分ら夫婦がしっかり盛り上がらせてもらったコンサートだった。

CeCe Winans @ Apollo Theater

NY近辺に住み始めてから来年で10年経つが、なんと意外にも今夜初めてApollo Theaterに行ってきた。アポロ劇場といえば、ご存知Harlemにある、黒人音楽の殿堂と呼んでも過言じゃない場所。これまでもジャズやブルースの大物やモータウンのスター達が演奏してきた。

今夜のコンサートは、自分の好きなゴスペル歌手CeCe Winans。ゴスペル界一の大家族Winans家の一員。

仕事を終わらせてMetro-North鉄道に乗り、Harlem 125th Street駅で下車。そこで仕事を終えてMidtownから電車で来た嫁さんと待ち合わせ。そのままアポロに向かい、近くのソウルフードのデリで夕飯を喰った。数年前、当時East Harlemに住んでたKちゃんが帰国する直前、三人で来た場所だった。ちょっと懐かしかった。

数週間前にチケットをオンラインで注文した時、二階バルコニー最前列真ん中が二つ空いてた。会場に入ると、思ってたよりもステージにかなり近いんで、嬉しかった。マジで、ステージの人達と視線が合いそう。

前座二組が終わり、10分の休憩の後、CeCeの出番。静か目な歌から始まったんで、なんとなくテンション低いかなと思ったけど、途中からどんどん盛り上がってく。

ゴスペルのコンサートにありがちなのは、ロックコンサートと違って時間通りの演出がされてなく、語りが入る時もほぼ100%アドリブっぽく、それが信仰の証しとなって、延々と続く傾向があり、最後は時間が来るとほぼ強引に終わらせるというパターン。それも、ロックコンサートに必ずある、お約束のアンコールってのがないので、結構尻切れの様な感じになる。最近はもうそれにも慣れてきたんだが、でも今夜もまた大好きな曲『Alabaster Box』が、サビの部分だけ押し込められた様な感があった。

とはいえCeCeは歌だけではなく、まるで牧師かと思わせる様な語りも凄い。全体的には満足できたコンサートだった。スピリチュアルな部分で結構盛り上がったし、自分の初アポロにはふさわしい『大掛かりな賛美集会』だった。秋には、これまた自分の大好きなDonnie McClurkinとのツアーが予定されてるらしい。

ちなみに来月はRadio City Music Hallで、ゴスペル・ヒップホップのパイオニアKirk Franklinで、前座がMary Mary。これまた楽しみ。