Down by the Riverside @ Tarrytown Music Hall

時々、もしかしたら自分はアメリカが好きなんじゃなくて、ニューヨークが好きなだけなのかも…って思うことがある。今や世界を仕切ろうとしてるアメリカ帝国の大部分は、物事の見方の狭い連中が多い田舎なわけで、そんな中、人種の坩堝になっているニューヨークなら、世界中から集まってる色んな人達と接することができるし、色々な文化を、ほんのちょっとさわる程度だが、体験することができ、物事に対しても色んな見方を学ぶことができる。

今夜は、嫁さんと、友人の四人で、近所のシアターで行われた、ブランド・ボーイズ・オブ・アラバマとプリザベーションホール・ジャズバンドのジョイントコンサート『Down by the Riverside』に行ってきた。

前座を務めたプリザベーションホール・ジャズバンドは、ルイジアナ州ニューオリンズに行ったことのある人や興味のある人なら必ず知ってるはずの、今やフレンチクォーター最古の建物の一つとなっているプリザベーションホールで演奏を続けるジャズバンド。自分もテキサス時代何度かニューオリンズまで運転して聴きに行き、それが自分の信仰に戻るきっかけとなったのは、このページにも書いてるが、今回は15年以上ぶりの生演奏。当時はニューオリンズ・ジャズ界の重鎮、ウィリー(クラリネット)とパーシー(トランペット)のハンフリー兄弟も健在で、メンバーの殆どが高齢だったが、多少平均年齢が若返った今でも、楽しい演奏を聴かせてくれた。最後はもちろん『聖者の行進』。

ブランド・ボーイズは、1939年にアラバマ州で結成された、盲目の歌手達によるゴスペルグループ。結成当初は四人だったが、その後ジミー・カーターが加わり、ファイブ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマとして活躍する。オリジナルメンバー四人のうち、健在なのは一人だけで、彼も数年前から一緒に活動はしていない。結局今じゃ昔のメンバーはカーターだけになってしまったが、それでも他の二人のボーカルとドラマーも盲目の爺さんで、その名に恥じない(?)活動を続けている。

カーティス・メイフィールドの『People get ready』や、『朝日のあたる家』のメロディで歌った『アメージング・グレイス』などを歌ってくれて、期待どおりで感動した。

一番印象に残ったのは、途中でジャズバンドも加わって演奏した『I’ll fly away』。ステージから「イエス様のために、死ぬまで歌い続けるぞ。」と言い切った爺さん達が、「自分が死ぬ時、ハレルヤ、自分は飛び去って行こう」と、天国へ行くことに希望を持ち、楽しく歌ってる姿を見て、どうしても母ちゃんのことを思い出さずにいられなかった。新しい年も迎えたし、いつまでの悲しんでるわけにはいかないだろ、って言われてるような気もした。

ルイジアナもアラバマも南部で、ニューヨークとは全然違うし、絶対住みたくないとこだ。でも、こういう音楽を聴いてると、やっぱ自分がすきなのは、ニューヨークも含めたアメリカなのかもなぁ…とも思えてくる。

そして、こういう素晴らしい音楽の中に生きていけるってことを感謝し、ここから何かを学ばなければいけないんだと再度実感した。